7月初旬の急落から日銀金融政策決定会合を終えてようやく落ち着きを取り戻したかに見えるドル円だが、今後の動きはどうなるだろうか。
これまでとは別の新しいトレンドレンジ内での動きになると予想され、下値が138円ほど、上値は143円台までのレンジ内での動きを想定している。
これをまた大きく逸脱することになった場合は、新たなトレンドとなるだろうが、大きなイベントはクリアした直後なので、しばらくは大人しくしてくれるのではないだろうか。
日銀の結果は若干円高要因になるものの
従来の10年金利に対する抑制幅を0.5%から1%に広げると発表した日銀だが、今回の金融政策の変更の骨子はここだと考えている。
実際にそれ以外の変更はないのだが、この範囲の変更のためだけに、さまざまな言葉を駆使しなければならず、そのため植田総裁もいろいろな言葉を駆使して説明に当たっていた。
その言葉の端々をメディアや投資家はかいつまんで解釈して、拡大解釈や誤解が生じ、市場に影響を及ぼすことになる。
また、無粋なアルゴリズム取引はニュース記事の単語に単純に反応して一方的な取引を展開するため、瞬間的に大きな相場変動が起きやすく、28日のザラ場の動きがまさにその結果である。
それらはあくまでノイズの一部として捉えると、結果的には若干の円高要因となるのでは、という認識だ。
その上でそれ以外のドル円に対する要因と合わせて考えると、先の様なレンジ内での動きになるのでは、という想定である。
米国経済の先行き
米国経済は以前インフレが続いているものの、その上昇はかなり抑えられており、金融締め付けに対する市場の反応としては、かなりソフトランディングに近い形になっていると思われる。
もちろん一部のメディアで囁かれているリセッションに対する警戒は当分続くと思われるが、常識的に考えてここ数ヶ月の様々な指標を鑑みると、リセッションの確率はかなり低いものと予想される。
あくまで警鐘を鳴らし続ける人々が存在するというだけのことで、それが大多数の意見ではないということだ。
米国金利についてはほぼこの後は横這いか若干の下振れが想定されるが、際立った債券高になる事はまずないとも思える。
総合的に見て米国経済は当面、緩やかな上昇を続けるとともに、金利は横這い、来期に向けては経済面も金利面も合わせて下がり始める傾向が見えているというところまでが、現在の分析としては割と妥当だと思える。
そう考えると少なくとも中期的には安定した右肩上がりが期待はされるので、ドル円に対してドル高要因となる。
総合的に緩やかな円安傾向は続く
総じてみると、米国経済の緩やかな上昇と今回の日銀の金利幅に対する緩和は、ドル円に対してこれまでよりは緩やかなドル高傾向になるものの、上限は制限されるのではないか、という想定になる。
それを受けての動きの目安はタイトルの通り137円〜143円台というレンジだ。
上限についてはこれまでの高値ラインが目安となろうが、大きく見積もっても145円台までが限度になるのではと思われる。
これは150円の時の黒田日銀の反応を見てのことだが、少なくとも植田日銀もその点についてはそう変わらないと予想されるためだ。
下値についても同様で、133円〜135円程度までの下振れも含めて考えておきたい。